怪物に魅せられた姫

　チェリア=リールムだよ。
　1歩ずつ、確実に…ね。

　夢の女神戦でトラブルに巻き込まれた駄目魔法使いは別の国で魔道士全てを統べる存在となったそうだよ。
　先代の力を引き継いでいたんだって。
　それがあまりにも強大だったせいで魔法が上手く扱えなかったんだね。
　師匠がいなければ魔法使いにはなれなかったんだ…

　この師匠、良くない者に惹かれやすい体質の様だと管理人が言っていたよ。
　先述の駄目魔法使いもそうだし、元の時代ではとんでもない人と一緒に勉強していたそうだからね。
　これも全て女神を名乗る邪悪な者のシナリオなのかな？
　そうだとしたら、彼女やその子孫が可哀想。
　彼女の家系でチェリアや管理人が知っているのは2人だけれど、どちらも幸せそうには見えないから。
　絶望の闇の中にいて辛い思いをしている…そんな気がする。
　顔は笑っていても目は笑っていないよ。
　どうして彼女達だけがこんな目に遭わなければならないの？

　…チェリアは考えていたよ。
　2人を幸せに出来る人はいるのかと。
　けれど、管理人は違うって。
　選ばざるを得なかったとはいえ、選んだのは彼女達だから後悔はしていない筈だと言っていたよ。
　それに、生きていれば苦しむ事もあるって。
　彼女達は自分の心…想いに正直であっただけだそうだよ。
　それが自らを追い詰める事になるとしても、彼女達は正直であった…それが、管理人の考え。
　だから、彼女達に必要なのはその想いを理解してくれる人だって。

　だったらチェリアは彼女達の想いを理解したい。
　住んでいる世界は違うけれど、それが原因で理解し合えないなんて事はない筈だから。
　彼女達を囚われの姫にも籠の鳥にもしない。
　それならいいでしょ、管理人？

　この事をライム達に話したらルルクに笑われちゃった。
　リッフィーとシェリングは同意してくれたけれど、ライムは複雑そうだったな。
　まあ、ライムには元の世界でする事があるからずっと幻想王国にいる訳には行かないものね。
　フィリは相変わらず。
　管理人はチェリアらしいと言ってくれたよ。

　チェリアは女神戦の世界を知ろうと思う。
　彼女達の想いを理解する為に必要だからね。

　今日はこの曲だよ。



　この曲が収録されているCDの歌詞カードにはヒュムノス詩と和訳しか載っていなかったんだって。
　ヒュムノス語で詩を書かれていても解らないから対応するアルファベットを載せてよ。